お寿司屋さん

 個人経営の本屋さんが店を畳んでいくように、昔ながらのお寿司屋さんが次々と姿を消しています。
 昔は、ハレの日には家族でお寿司を食べに行きました。
 ちょっと改まったお客様を迎える日には、宅配してもらったものです。お客様のおこぼれに預かって一緒に注文してもらっていた子供の頃、いつの日か『盛り合わせ』が『握り』に代わることを夢見たものでした。家でいただいたお寿司の桶を洗う母もいつもの洗いものよりもリズミカルだったような記憶があります。お寿司と嬉しいことは結びついていました。

 今では、どこのスーパーに行ってもお寿司が並んでいます。コンビニで扱っているお寿司も少し前までいなりずしと巻き寿司くらいでしたが、当然のように握り寿司も置いてあります。手軽に買える時代です。
 家族で食べに行くなら回転寿司。老若男女問わずに楽しく食べられます。
 駅前や商店街にあった昔ながらの板前さんが目の前で握ってくれるお寿司屋さんには厳しい時代なのでしょう。

 数年前まで節分の日にはお寿司屋さんが店頭に特設売り場を設けて巻き寿司を販売していました。ちょうどクリスマスのケーキを売るケーキ屋さんのように。
 いつしかそんな姿も消えてしまいました。

 成人式が終わった頃から、家のポストには回転寿司店から恵方巻きの予約販売のチラシが入り始めました。
 はなから自分で作る気もなかった私は、スーパーの巻き寿司を家族分買って帰宅しました。
 「節分の恵方巻きくらいいいものを食べたいよね」
「縁起ものだもの」と、言って友達と買ったお寿司屋さんの大きな巻き寿司を懐かしく思い出しながら、一方で来年は自分で巻こうかなと殊勝なことを思いながら…。
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by h_with_the_wind | 2010-02-03 23:59 | 季節の中で


今日はどんな風が吹くのだろう。 日々の思いを書き留める雑文帳。


by 風懐

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