電報の思い出

 成長してから思い返して数えてみると私は2歳でした。
 夕飯の支度をしている母の背中を見ながら、私はぬいぐるみで遊んでいました。玄関で声がして、母が出て行きました。おじさんが、
「電報です」と、言って母に『手紙』を渡して帰って行きました。
 手紙を広げた母は、急にそわそわとし始めました。

 その時すでに父が帰宅していたのか、それからどうやって家を後にしたのか、すぐだったのか夕飯を食べた後だったのか、覚えてはいません。

 次の記憶は、祖父の家に飛びます。縁側で従姉と一緒に遊んでいました。
 母が電報を受け取ってから何日かを祖父の家に泊まりこんでいたようです。祖父母と同居していた叔父一家の2歳年上の従姉が私の遊び相手でした。

 やがて座敷は綺麗に片づけられ壁には幕が張られました。親戚が集まり、たくさんの人たちが出入りし始めました。
 台所では女たちが煮炊きする香りが立ち込め、テーブルの上にたくさんの料理が並びました。近所の男たちがお酒を飲んで料理を食べて帰りました。

 そうして気がつくと祖父はどこかへ行ってしまい、座敷から玄関までの飾りが一瞬のうちに片づけられました。

 久し振りに親子三人で自宅へと帰る車中、両親は疲れた様子で無口でした。
 喧噪の日々を過ごして久し振りに帰った家は、しんと静まり返っていて、あの電報が届いた時に遊んでいたぬいぐるみがころんと座敷に転がっていました。

 電報の内容が
「チチ キトク…」だったのだと記憶を補ったのはいつのことだったのでしょう。
 家で電報を受け取った唯一の思い出です。


 クイズ番組を見ていたら、
「115は、何の電話番号でしょう」という問題が出ました。
「電報」という答えを聞いて、次女が間髪入れず、
「電報って何?」と、問うてきました。
 いささかぎょっとしながら説明すると、
「ああ、トトロに出てきたやつね…」ですって。

 ……ですよね…。
^O^/


遊びに来てくださって、ありがとう

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by h_with_the_wind | 2012-02-02 18:54 | 思い出話


今日はどんな風が吹くのだろう。 日々の思いを書き留める雑文帳。


by 風懐

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