うみ やま あひだ

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2014年秋 伊勢神宮


 伊勢神宮は、森の中にあります。
 豊かな木々に囲まれた参道を進むうち歩調はいつしかゆっくりになり、同時に穏やかな気持ちになっていきます。
 その伊勢神宮の背後には、更に大きな森が広がっています。


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2014年秋 伊勢神宮



 映画「うみ やま あひだ  ~伊勢神宮の森から響くメッセージ」(宮澤正明監督)を観ました。

 写真家の宮澤正明さんは、2013年の新宮式年遷宮に向けて、その準備が始まる8年前から伊勢神宮を追い続けました。
 遷御の儀の一年前、写真では表現できないことへの枯渇した思いから映像で探ろうと決意されてできた映画が「うみ やま あひだ  ~伊勢神宮の森から響くメッセージ」です。

 原則20年毎に全ての社殿を作り替えて神座を遷す新宮式年遷宮は、1300年間続いています。古い社殿が建っているうちにそれと同じ建物を造り、神様にお遷りいただくことを繰り返して「常若」を保ち、古い形と精神を今日に伝えてきました。
 遷宮には1万本の檜が必要で、その材木は伊勢神宮の森、あるいは木曽から川を下って運び出されています。伊勢神宮の森では、200年後に1メートルの太さに達するであろうという木にマークをつけて育てています。

 映画は、伊勢神宮の日常から信仰を写し、遷宮のために木を育てる人、森を守る意味についての証言を引き出していきます。

 「日本人がこの100年の間で一番失ったのは森だ」という建築家の言葉が印象に残りました。
 日本の森林率(国土面積に占める森林の割合)は、およそ7割。先進国の中ではフィンランド、スウェーデンについで第三位です。それでも「一番失ったのは森だ」と言われるのはどうしてなのでしょう。

 明治維新以来、日本人は、燃料としてあるいは宅地開発のため、多くの木を切り倒してきました。
 一方、植樹されるのは、成長が早く建築資材としての需要が高い杉や檜に偏っていたため、近年、花粉症の増加が新たな社会問題化しています。


 人工の森を作るには、100年単位の視野が必要です。
 NHKスペシャルで放映された「明治神宮 不思議の森 ~100年の実験~」を思い出しました。放映から半年を過ぎても心に残っています。

 グーグルアースで見ると、明治神宮もまた森の中にあることがわかります。
 この森は、明治神宮の創建に合わせて作られた人工の森です。創建時、植樹は綿密に計算されて行われました。以来100年、植物のみならず昆虫、粘菌、鳥類、タヌキの生息する豊かな自然の森へと成長しています。


 スクリーンに映る森は美しく、小川のせせらぎや鳥の声は優しく、あたかも森の中にいるかのような穏やかな気持ちになれました。
^O^/

遊びに来てくださって、ありがとう





「日本人がこの100年の間で一番失ったのは森だ」

 森林の伐採は海にも影響を与えています。
 「プロジェクトX  えりも岬に春を呼べ」
 北海道開拓時のえりも岬では、暖を取るために周辺の木を薪に利用し、また紙の原料となる広葉樹を切り倒したため砂漠になりました。その影響は、豊かだった海に現れました。昆布が生えなくなり、漁獲量が激減。
 えりもの海に再びかつての賑いを取り戻すため、林野庁の治山事業が始まりました。砂漠への植林から始まり、豊かな森と海を取り戻す努力を描いたドキュメント番組です。


 また、拙ブログ"で、高村薫さんの小説「晴子情歌」を読んだ後、ニシンで賑わった北海道の日本海側でおきた磯焼けについて触れています。
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by H_with_the_wind | 2015-12-05 16:34 | 芸術 | Comments(0)