硫黄島からの手紙

 クリント・イーストウッド監督の映画、「硫黄島からの手紙」を見てきました。「硫黄島からの手紙」は、第二次世界大戦における硫黄島の攻防戦を、前作アメリカ側の視点でみた「父親たちの星条旗」に続いて、日本側から描いた映画です。

 私は、ちょうどひと月前に「父親たちの星条旗」を見ました。併せて見ることで戦争の凄惨な姿が、より深く心に突き刺ささったようです。

 このふたつの映画に共通する不気味さは、敵兵の顔を極力映らないようにしていることです。敵の姿は見えても顔が見えないというのは、実際に戦地にいる兵士と同じ状況で、それ故に、恐怖心を煽られます。
 ある朝、突然目の前に現れたおびただしい数の戦艦、轟音と共にやってくる爆撃機、あるいは、地中に隠された戦車の銃口など無機質な兵器がシンボリックに「敵」を示します。
 と、同時に「父親たちの星条旗」を先に見た観客は、ひとりひとりのアメリカ兵の顔を思い出すことができますし、その感情の動きもすでに刷り込まれています。

 戦争中、日本人もアメリカ人もそれぞれの国のプロパガンダに乗せられて祖国の為に戦いました。正義は自分の側にあるのだ、と信じて。国を、家族を守る為に戦う兵士たちのバックグラウンドは、日本もアメリカも変わりはないのに…
 あの戦争は何だったのか…大義はそれぞれに掲げていたけれど、所詮、たくさんの人を不幸にしただけではなかったのか…

 日本の民家や民間人の姿に違和感を覚える場面もありましたが、それをも乗り越えて見応えのある映画だったと思います。
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by h_with_the_wind | 2006-12-20 23:59 | 芸術 | Comments(0)