ロシア皇帝の至宝展

 先に言いますと、私は過去にクレムリン内の通称・武器庫(モスクワ・クレムリン博物館)でこれらの美術品を見学しています。
 武器庫は16世紀に武器甲冑を作る作業場・倉庫として作られたもので、ロシア革命の後は、僧院・教会・個人コレクションの作品を展示する美術館として公開されています。

 梅雨明け間近の大阪で、まさかロシアの至宝と会えるとは思ってもいませんでした。娘たちをモスクワへ連れて行くことは容易ではありませんが、こうして本物の美術品を見る機会なら与えてやれます。

d0087062_1741498.jpg ウラジミール大公の時代からロマノフ王朝の終焉まで、ロシアの歴史をたどりながら美術品を鑑賞しました。とはいえ、宮廷の美術館ですから、庶民の生活とはかけ離れたきらびやかな世界です。そこには農奴が捧げた神への祈りは、微塵も感じられません。

 宗教色の濃い展覧会でした。
 ロシア正教会の特徴である数々のイコン(聖像)、オクラド(イコンまたは礼拝用書物の金属製覆い)付き福音書、十字架、棺の覆い、祭衣など教会で用いられる数々の品は、どれも豪華な装飾が施されています。
 精巧な作り、贅沢な宝飾、美しいフォルムは、見ているだけでため息が出ます。宝石や金糸銀糸で飾るほどに信仰の深さを表現したそうです。
 ヨーロッパの文化はもちろんのこと、東洋文化や地中海文化の影響が垣間見えるのもロシアならではのことでしょう。

 潤沢な資金を基にこれらの装飾品を作らせた人と、スポンサーを得て持てる技量を尽くした職人の仕事が 革命の混乱で散逸することなく、むしろ続く社会主義体制故に守られてきたことは、ある意味では皮肉なことかもしれません。

 娘たちが、普段目にする十字架とは違った独特の十字架に気がついたように、何かの形で記憶に留めていてくれることを願いつつ、また世界の広さと相互に影響し合った痕跡を見つけて狭いと感じる感性を大事にしたいと思いました。
[PR]
by h_with_the_wind | 2007-07-24 23:59 | 芸術 | Comments(0)