あなたは一度だけど…

 阪神・淡路大震災の日、長女の通っていた幼稚園は休園になりました。多分、2・3日後には再開したと思いますが、私は長女をクラスの中で最後まで休ませていました。
 次女がまだ首もすわっていなかったこと、義父母が念のためにと我が家に避難していたこと、そして、私が手一杯の状態なので再び地震がおきた時に長女を幼稚園まで迎えに行く自信がなかったことと主な3つの理由の他にもいろいろありましたが、とにかく自分が納得してから登園させようと決めました。

 とはいえ、生活は生活でこなしていかなければなりません。長女を連れて買い物や銀行に行けば、長女のお友達のお母さんやご近所さんにも会います。
 幼稚園を休んだ子供を連れているので、「どうしたの」と、声を掛けてもらいます。立ち話だし長女がいっしょなので、理由も簡単にしか説明できません。正直言って、毎日のことで精一杯でした。
 私の話に、自分の子供と一緒に長女の送り迎えを申し出て下さる方もいて、本当にありがたく思いました。好意から出る言葉はひとりではないことを確認できて、嬉しいものでした。
 でもね、私に声を掛けてくださる方は一度だけど、私は、時には日に何度も同じことを答えなくてはいけませんでした。しまいには、ペーパーにして配りたいくらいに疲れるものでした。
 そんな中で、どうして長女が幼稚園を休み続けるのかを聞かずに、ただ
「赤ちゃんもいるんだし、何でも言ってくれたらお手伝いするわよ」と、明るく言ってくださる方がいました。理由を聞かれないだけで、ほっと嬉しく感じました。

 長女が登園した初日、お迎えの時に、
「地震を怖がってお母さんから離れなかったんだって…」と言われてびっくりしました。おいおい、そんなこと一度も言ったことはなかったよ。
 まだ長女が幼かったからこそ私はそばに置いていました。長女が、幼かったから再登園しても本人が友達から次々と質問されることもなかったと思います。

 そんな経験もあって、頑張っている人に頑張れとは言えません。
 言葉を掛けたい、応援しているよって、伝えたいけれど何と言えばいいのか言葉が見つかりません。
 確かにあなたの言葉を聞いたよ、という印にピントのずれた発言しかできない不器用さが自分でも歯がゆいばかりです。
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by h_with_the_wind | 2008-02-08 23:59 | 思い出話


今日はどんな風が吹くのだろう。 日々の思いを書き留める雑文帳。


by 風懐

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