その窓から遠くにまだ浅い紅葉が見えました。
 その窓のある建物には蔦が這っていました。

 蔦は、窓枠をなぞるようにして壁を迂回していきます。夏の間に開け放っていた窓から忍び込んできたのか季節が移って今は閉じられた窓からわずかばかりのぞいている触手は、無惨に部屋の中で茶色 に変色して途絶えています。
 それでも赤く色づき始めた本流は窓の縁をなぞって、コンクリート壁に沿って伸びていきます。
 今、ようやく3階の窓に到達した蔦はまだまだ上階を目指して成長していくことでしょう。

 色づき始めた蔦が太陽の光を浴びて美しく輝いていました。
 その建物の内側から眺めた時、無機質なコンクリート壁を覆う彩りに生命力を感じ取り、畏怖の念を抱いてしまいました。

 たまたまここへやってきた私には、この蔦がいくつの季節を経て3階の窓までやってきたのか知る術もありません。これからどこまで伸びていくのか見守ることもできません。
 蔦には、「永遠」という意味があるそうです。確かに、いつまでもどこまでも伸びていくような揺るぎない自信に溢れているように見受けられました。
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by h_with_the_wind | 2008-11-01 23:59 | 季節の中で | Comments(0)