個展

 小学校時代の恩師から個展の案内状が届きました。

 その先生は、ユーモアたっぷりで情にもろく厳しいけれど不当なことでは叱らない、スーツがとてもお似合いの素敵な女性でした。子供たちだけでなく同世代の母親たちにも信頼できる先生として人気がありました。

 ある授業時間をつぶして先生は、映画『自転車泥棒』の話をしてくださいました。古い映画だけどとても感銘を受けた、と話を始められました。先生の話された内容はおぼろにしか記憶にありませんが、熱心に話される先生のお顔は今もはっきりと蘇ります。

 先生は、私が中学生の頃に小学校教師を辞められたと聞きました。どうして辞められたのかわからなかったけれど、何とはなしに結婚されたらしいと母親たちの間では囁かれていました。

 辞められた理由が結婚ではなく、絵の勉強をするためにパリへ行かれたのだ、と聞いたのはもうずいぶん後になってからです。
 素敵だなあ、さすがあの先生だ、と憧れました。だって、パリですもの。
 70年代、まだ海外旅行が夢だった時代に教職を捨ててまで留学して、いちから絵の勉強をする勇気に先生を知っている誰もが驚きました。

 その後、同窓会でお会いして以来、年賀状のやりとりをさせていただいています。
 確か今年は、喜寿を迎えられているはず。個展の案内状に選ばれた絵は、色彩豊かで力強く、益々お元気でおられることを物語っています。
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by h_with_the_wind | 2008-11-06 23:59 | 思い出話 | Comments(0)