今日はどんな風が吹くのだろう。 日々の思いを書き留める雑文帳。

by 風懐

熊の胆

 アメリカに住んでいる友人が興奮した声で言いました。
 「信じられる?子供がおなかが痛いって言うから病院に連れて行ったら、コーラを飲ませろですって!3歳児よ!」
 所変われば、習慣も変わります。

 私が子供の頃には、おなかが痛いと言うと母がすぐに
「くまのい!」と言っていました。バリバリ現役の看護婦だった母です。

 熊の胆を実際に口にしたことはありませんが、良薬口に苦しの言葉通りとても苦いものだったと聞きます。そしてそれは、私の母が子供の頃には、貴重な漢方薬だったようです。

 「熊の胆」が熊の胆嚢だと知ったのは随分後になってからです。そのまま熊の胃袋かと思っていました。
 ツキノワグマやヒグマの胆嚢は、肝臓から分泌する胆汁を十二指腸に届ける前に蓄える袋のことだそうで、これをじっくりと乾燥させたのが「熊の胆」と呼ばれる薬になります。冬眠を前に、たっぷりと秋の味覚を採って栄養を蓄えたクマから胆嚢を採集すると特に良質の「熊の胆」が採れるのだそうです。
 食欲不振、胃もたれ、胃弱から飲みすぎ、二日酔いにまで効くといいますから、胃腸全般に効能があったようです。

 ニヤリと笑う母の表情に「熊の胆」の苦さと熊の恐ろしい姿態を想像して現実の腹痛さえ忘れるほどでした。
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by h_with_the_wind | 2009-01-19 23:59 | 思い出話 | Comments(4)
Commented by 風屋 at 2009-02-06 11:32 x
熊谷達也「邂逅の森」は
そんな熊の胆を猟って生業とする大正時代のマタギの物語です。
獲物となる熊への憐憫、山の神への祈り、伝統的生活習慣、
そして熊の猟り方や熊の胆を売る際の駆け引きなど
さすが直木賞候補になっただけあってとても面白い小説です。
Commented by charet_grindel at 2009-02-06 22:48
クマノイ→胆汁末入り胃腸薬は私にとっては必需品です。
お産の直後に胆石症を発症し当時は回腹手術よって切除して
胆嚢が無いものですから、これをいつも服用しています。
ただし、通常の医薬品店に無いのが困りものです。
とにかく 優れものです。
Commented by h_with_the_wind at 2009-02-08 00:08
☆風屋さん
きた、きた(笑)。ひっかかったねと言おうか、ばれちゃったと言おうか(笑)。
「邂逅の森」はすごかったです。その印象を書きたいのだけど、一度には書けず、本を読みながらつらつらと心に浮かんだことを記しています。
Commented by h_with_the_wind at 2009-02-08 00:10
☆charet_grindelさん
そうでしたか。今ではとても貴重な薬と聞いています。
お大事になさってくださいね。
ところで、やっぱり「良薬は口に苦し」なのでしょうか。