今日はどんな風が吹くのだろう。 日々の思いを書き留める雑文帳。

by 風懐

出航の時

 長女の入学を見届けてあわただしく帰阪しました。

 家電製品が届くまで2日、ベッドが届くまでまだ4日もあります。私が滞在中はホテルに泊まっていましたが、今日から長女はアパート住まいです。
 お布団とこたつ、わずかばかりの身の回りのもので始まる新しい生活。一片の不安も見せない長女とは笑顔で別れました。

 まだまだ足りないものがあることはわかっていてもキリがありません。どこかでエイヤと区切りをつけないと。それに私にはもうひとり待っている娘がいます。

 帰りの飛行機は手持無沙汰でした。密度の濃い3日間を過ごした後の軽い疲労感と高揚感に身の置き所を探していると、前の座席のシートのポケットにイアフォンが見えました。
 ー そうね…
 学生時代、帰省に飛行機を利用した時には機内で提供される音楽を聞いていたものです。
 ー ひとりで飛行機に乗る機会なんて久しくなかったなあ
 袋からイアフォンを出してセットし、くるくるとダイアルを回してみました。ダイアルを回すたびに異なった曲が流れてきます。ふっと静寂にひきこまれて手を停めました。

♪ When you’re weary
  Felling small ~

 あーー、このタイミングでこの曲!
 イントロですぐにわかりました。サイモンとガーファンクルの『明日に架ける橋』です。

♪ When tears are in your eyes
  I will dry them all ~

 長女が初めてこの曲と出会った時、とてもいい曲だね、と言っていました。
「誰の曲?」と聞くので教えると、何を聞き違えたのか、
「サーモンとパイナップル!」と問い返しました。
 頭の中を鮭とパイナップルがくるくる舞いだして、私は可笑しくて可笑しくて訂正もできませんでした。


♪  Like a bridge over troubled water
   I will lay me dowm ~

 夕日に背を向けて飛ぶ飛行機の中でイアフォンから流れてくる音楽に合わせて小さな声で歌っていました。

♪  Sail on, silvergirl,
   Sail on by,
   Your time has come to shine ~ ♪

 そう長女にとっての出航の時です。いつでもその後ろに両親がいることを覚えていて欲しい。
 そして長女を手離した私にとっても再び出航の時だと背中を押された、と感じました。
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by h_with_the_wind | 2009-04-03 23:59 | わたし | Comments(4)
Commented by imuimu at 2009-04-13 21:14 x
いろんな事を一気に片付けてホッとしてしまうと
急に体調を崩しがちです。
体には気をつけて下さい。

笑顔でお別れして来たなんてステキです。私には無理かな(^^;)
ステキな曲が良い旅立ちを盛り上げてくれましたね。

娘さんもきっと自分の後ろには両親がいる、無条件で受け入れてくれる場所が有れば、きっと困難にも立ち向かう事が出来るのではないでしょうか。

娘さんとは例えば家族だけの掲示板と言う方法もいいのではないでしょうか(^^)親戚の家族がそう言う方法で連絡を取り合ったいる様です。
Commented by カンナ at 2009-04-13 22:55 x
職場で昼休みに読んで、あやうく涙がこぼれそうになりました。
親子でも、たくさんの節目を経て、それぞれの道に向かっていく。行き先はおそらく同じではなく、別れたら、一人で先へ枝を伸ばしていくしかありません。
でも、親である幹に元気がなくなれば、枝も枯れてしまうこともあるでしょう。そう思うと、親はやっぱりいくつになっても楽にはなれないのだなあ、なんて。まだ我が家にはもう少し先の話になるでしょうが。
うちの方言では、巣立ちのあとのぽっかりした気持ちを「ラクサビシナイ」といいます。サビシナイは、寂しくないのではなく、寂しいのです。不思議な言葉ですが、好きな言葉です。
Commented by h_with_the_wind at 2009-04-14 06:58
☆imuimuさん
お気遣い、ありがとうございます。
何だか出来すぎのタイミングで「明日に架ける橋」が流れてきました。こんなことってあるんですね。

掲示板、面白いですね。今の時代、連絡を取るのは難しくなりましたね。もっともそこに至るには連絡しようというそれぞれの意思が必要ですが…。
Commented by h_with_the_wind at 2009-04-14 07:02
☆カンナさん
ラクサビシナイ…、不思議な言葉ですね。

カンナさんのお子さんは、まだまだハグさせてくれるお年頃かと。今のうちしっかり抱きしめて、抱きしめられてください。その記憶は親にも子にも根付くはずです。