最初の日

 私が、大学の寮に入って初めての朝。
 ちゃんと朝食にも余裕のある時間に目覚めたというに、何とも落ち着かない気分でした。

 いや、なんだかこんな日は…、えっと、どないしょう…。
 照れる?誰に?


 私の入った小さな女子寮は、全員が新入生でした。出身地も大学の専攻も違う私たちの共通点は、同じ時期に親元を離れてひとつ屋根の下で暮らし始めたこと。

 寮では、日曜祭日を除いて、朝御飯と晩御飯が提供されることになっていました。ご飯の時間には一時間ほどの幅があってその間に食堂でいただきます。



 皆、もう行ったのかなあ。
 一番に行ってもナンだし、真中くらいだとどこに座っていいかもわからないし、最後になってもやっぱりナンだし…。いやいや、どうしよう…。

 要するに私が朝から迷っていたのは、いついかにして食堂に行くのか、という些細な、でも当時の私にとってはとっても重大なテーマでした。

 そや!
 ひとりでしょうもないことに悩むのはやめました。
 まだ周りでドアを開け閉めする音はしません。そっと自分の部屋のドアを開けると、廊下に出されたスリッパを確認しました。隣も向いもその隣も新しいスリッパがきちんと並んでいます。

 やったあ!

 トントン、
「ご飯、行こ!」
 3つの扉を順番にノックすると、
「はーい」「はーい」「はーい」
 どの部屋からも「待ってました」の元気な返事が返ってきました。

 以来、一年後に寮を出るまで私たち4人は、毎朝連れだって食堂に行くことになりました(笑)。
 いやいやごめんよ。私のしょうもない迷いのせいで一年つき合わせてしまったね。でも、おかげで寝坊して「食いっぱぐれる」ことはなかったっしょ(笑)。 
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by h_with_the_wind | 2009-04-08 23:59 | 思い出話 | Comments(0)