2017年 04月 07日 ( 1 )

図書館の魔女

 図書館の魔女(高田大介著、講談社文庫全4巻)を読みました。



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 初めて高田大介さんの小説を読みました。文章にキレがあり、選択される言葉が豊富です。
 たとえば、「韜晦(とうかい)」。普段目にしない漢字ですが、たったひと言で簡潔にかつその場面の緊迫感をも読者に伝えます。
 最近は、誰にでも理解できるようにとの配慮からか平易な文章での小説ばかりが目につき、少々物足りなく感じていたので、ぴしりと的確な一語を使われることが爽快でした。
 著者のご専門は印欧語比較文法・対照言語学だそうで、尚且つ、フランスで生活されているというのですから、言葉に対しての思いは格別かと想像します。


 小説「図書館の魔女」でもそのまま「言葉」が重要な役割を果たします。
 史上最古の図書館に暮らす少女マツリカは、古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえに、「高い塔の魔女」と恐れられています。
 ところが、彼女自らは声を持ちません。幾多の言語、方言、さらに手話、指話…、いくつもの種類の言語が飛び交い、その全てを聞き取り理解しますが、自らの言葉は傍にいる司書を通してのみ語られます。

 言葉は「思い」をどこまで伝え得るのかということを常に突きつけられながら、長い小説を読んでいました。
 使用する言語が同じだからといって「思い」が伝わるとは限りません。一方、言葉は通じなくても、目的が同じであれば呼吸で分かり合えることもあります。
 多くを語っても中身の空疎なこともあれば、語らずとも「忖度」が働くこともあり得ます。

 「ペンは剣よりも強し」との言葉は、古くから使われてきた表現ですが、予想される戦争を「言葉」で避けることができるのでしょうか。
 身に迫る危険をもうひとりの主人公キリヒトと共に回避することができるのでしょうか。
 先を急ぎたい思いを抑えながら小説の世界を楽しんでいました。
^O^/
遊びに来てくださって、ありがとう

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by H_with_the_wind | 2017-04-07 23:59 | 本の話 | Comments(0)